以前にも書いてありますように、ラボでは週一回ラボミーティングが行われています。ブログには最近ラボミーティングについてはアップデートしておりませんでしたが、実は、一報の論文に、ここ三週間もかけて、学生の理解度を深めていたのです(?)。前回のラボミーティングはドクターの方の発表でしたので、ある程度スムーズに終わりましたが、今回の発表者はそう簡単にはいきませんでした。また、聞く方の学部生やM1にとっても、まだまだ初心者ということもあり、時間をかけてこの論文と格闘しました。
用いたのは、
Diabetes. 2008, 57(4):860-7.
AMP-activated protein kinase regulates GLUT4 transcription by phosphorylating histone deacetylase 5.
「AMPKはHDAC5をリン酸化することによってGLUT4の転写を調節している」
という論文です。この分野の専門家には「たった7ページの論文に3週間?」と驚かれると思いますが、
初心者にとっては論文中に含まれる、ウェスタンブロッティング、酵素の活性測定、免疫沈降法、クロマチン免疫沈降アッセイ、定量PCR,ルシフェラーゼアッセイなど多種の実験手法を理解するだけでも困難が伴い、さらにその手法から得られる結果が何を意味するかを考えていくということは並大抵のことではありません。
発表者も時間をかけて勉強し調べて、発表しているのですが、教授の「全然、説明になってない」の一言で、「理解する」という意味の難しさを知ることとなったのです。
しかし、第三回目が終了した後に、「三回目にして彼の理解と発表は素晴らしく変わった」という教授の言葉に代表されるように、この三回、何度も何度もダメだしされたことで、1まわりどころか、10まわりも大きく成長できたと思います。
発表には少し時間がかかりましたが、皆にも「理解する」ことの大変さは伝わったはず。
少しずつの努力が、きっと実っていくはず。学生たち(including me)、頑張りましょう。