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書評

F市:書評

RAW DATA(ロー・データ)
Pernille Rørth/著,日向やよい/翻訳

この小説は、アメリカの有名研究室で起きた研究不正にまつわる物語です。フィクションとは思えない生々しいストーリーで、ラボ生活の描写がとてもリアル。僕は何度も胸が締め付けられました。研究とは、表向きは華やかですが、その裏には多大な労力や失敗による絶望、計り知れないプレッシャーに満ちています。いつか苦労が報われて大きな喜びが待っていると信じていますが、実はそんな日は来ないのかもしれません。この本には、そんな若手研究者の全てが凝集されています。

アメリカの一流研究室で働くポスドク・クロエは、有名雑誌「ネイチャー」に論文がアクセプトされ、研究者としてバラ色の人生を歩み始めようとします。一方、同じラボのポスドク・カレンは自分の研究が絶不調で、クロエに少し嫉妬し、焦りも感じていました。そんなとき、カレンは偶然、クロエのデータに齟齬があることに気づきます。知らなかったことにすれば良いのにと思いつつ、クロエは正義感から、それを研究室のボスであるトムに伝えます・・。

トムも含めた3人の心情と置かれた状況を読むと、医学・分子生物学の研究とは、なんとタフなんだろうと思う反面、それも含めて研究者という職業は魅力的だなと改めて感じました。米国留学後の僕にとっては、当時の想いを沸々と蘇らせてくれる、忘れられない一冊になりました。学生の方は、これから挑む世界を垣間見ることができます。
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by Fujii-group | 2020-03-31 08:43 | 書評 | Comments(0)

分子生物学、運動生化学、生理学研究、の日々


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