私のオススメしたい本は、夏川草介の「神様のカルテ2」です。
実写化され話題にもなったのでご存知の方も多いかと思います。
主人公は、温厚篤実で文学好きな内科医の栗原一止。
疲弊しきった地域医療をギリギリの所で支えている医療従事者たちの日常を綴った物語です。(作者である夏川さん自身も信大出身で地域医療に貢献されているお医者さんだそうです。)
舞台は、長野県にある「24時間、365日対応」の看板がこうこうと光る本庄病院(一止の勤務地)。途中、個性豊かな住人たちの住む御嶽荘や長野県周辺の美しい山々も登場します。
人間的な生活を捨てることで、はじめて「優秀なお医者さん」と言ってもらえる職場環境。異常とわかっていながらも、そうしなければ救うことのできない患者さんの心や命。
そして、同時にすり減っていく自分の命。
それでも、一止と同僚たちはカンフル剤のようなインスタントコーヒーを飲みながら、今日も病院内を駆け回る。
そこまでして彼らはなぜ患者に向き合うのか。また、なぜそこまでして患者に向き合わねばいけないのか。
そこに見え隠れする各キャラクターの理想と現実が、とても色鮮やかに描かれています。
「医師の話ではない。人間の話をしているのだ。」というセリフが、決めセリフとなっていますが、個人的な感想としては、それに続く経理側の院長先生のセリフも含めて読んで欲しいと思います。
確かにこの物語は、医者の話ではなく人間としてどうあるべきかを常に問うてくる作品です。
過酷な労働環境、病気、死など、ネガティブに思える内容が続きながら、なぜか最初から最後まで暖かい何かを読者に感じさせてくれます。
「24時間、365日対応」の看板が消えた時、一体何が起こるのか。
ぜひ、ご一読ください。
by Fujii-group
| 2020-03-19 08:44
| 書評
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