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書評

書評:梁さん

今回、私が紹介するのは東野圭吾の小説「幻夜」です。
著者の小説の結末にはいつも止まらない涙や深いため息がつきものだと思っていましたが、本作を読み終えた私は底の知れない「絶望」に落とされてしまいました。
この話は新海美冬と水原雅也という2人の人物を中心として、描かれています。当初は大震災後の混乱の中、二人で力を合わせて生きていくことになる予定だったのですが、次第に美冬の野心がむき出しになっていき、雅也も含めて彼女を取り巻くすべての人が彼女の野心に飲み込まれるのです。
私は美冬の人生がどのようであったかは深くは分かりませんが、雅也が美冬に翻弄され、とても可哀想に思いました。しかし、美冬を愛しているがゆえに行った行動、全て美冬が作った「幻」に、忠実に行動しただけのことです。
一方、私には美冬の行動、つまり、自分の理想を貪欲に求め続け、そのために手段は選ばないことに、到底理解はできません。雅也はその手段のための1人だったのです。美冬にとって雅也の代わりはいくらでもいたのではないでしょうか?
 しかし、雅也の行動のすべての発端は実は大震災時のある事件に起因しているのです。それを考えると、美冬も雅也も全てあの時の出来事が人生を決めてしまっていたのかもしれないと思いました。運命の怖さを感じるとともに読み終えた後、「絶望感」を感じる小説でした。まだこの小説を拝読していないみなさん、ぜひ東野先生が与える「絶望」を感じてみてはいかがでしょう。


by Fujii-group | 2019-11-11 22:17 | 書評 | Comments(0)

分子生物学、運動生化学、生理学研究、の日々


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