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ラボミーティングの内容

古市JC

Nat Med. 2016 Aug;22(8):897-905.
Loss of fibronectin from the aged stem cell niche affects the regenerative capacity of skeletal muscle in mice.
Lukjanenko L, Jung MJ, Hegde N, Perruisseau-Carrier C, Migliavacca E, Rozo M, Karaz S, Jacot G, Schmidt M, Li L, Metairon S, Raymond F, Lee U, Sizzano F, Wilson DH, Dumont NA, Palini A, Fässler R, Steiner P, Descombes P, Rudnicki MA, Fan CM, von Maltzahn J, Feige JN, Bentzinger CF.

 今回紹介する論文はサテライト細胞のニッチに関する内容です。骨格筋再生のキープレイヤーであるサテライト細胞は加齢や疾患によって、その増殖・分化・自己複製能が衰えます。その要因の一つに細胞外マトリクスの変化が挙げられます。
 著者たちは若齢と高齢のマウスの骨格筋を薬剤で損傷させ、再生する過程でそれらを採取、プロテオームに供し、タンパク発現の変化を網羅的に解析しました。加齢によって細胞外基質の遺伝子群の発現が大きく変動していることが明らかとなり、その中でも再生時に一過的に発現が亢進するフィブロネクチンは、高齢マウスではその発現上昇が弱いことが分かりました。フィブロネクチンはサテライト細胞自身からも発現していますが、量的に免疫細胞や造血細胞などのLineage-positive cell由来のものが圧倒的に多いようでした。
 著者たちは筋再生時に一過的に増加してサテライト細胞のニッチを作るフィブロネクチンが、筋の再生能力に重要であると考えました。実際にサテライト細胞をフィブロネクチンで培養すると生存率が高まりました。阻害剤やノックアウトマウスを用いた実験から、フィブロネクチンは細胞接着分子であるインテグリンを介して、接着斑キナーゼFAKを活性化することが分かりました。In vitro、In vivoにおいて加齢したマウスの骨格筋にフィブロネクチンをレスキューすると、FAKの活性化によって筋の再生能力が回復することが示されました。
 フィブロネクチンはサテライト細胞の老化に関わると想像され、サルコペニアの重要な治療ターゲットとなり得ると著者たちは考えています。
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by Fujii-group | 2016-12-13 18:32 | ラボミーティングの内容 | Comments(0)

分子生物学、運動生化学、生理学研究、の日々


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