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メンバーの日記

「NEJM」と「Nature」の示唆 :藤井宣晴

New England Journal of Medicine (NEJM) とNatureは、生命科学系の研究者であれば誰もが知っている最高峰の科学誌。「いつか大発見をしたら、いつかあのどっちかに論文を載せるんだ」と、大抵の研究者は「いつか」を連呼したまま研究者人生を終えてしまうほどの高みです。

わたしの授業では、専門の検索エンジン(PubMed)で好きな論文を探し出し、その内容をレポートにまとめる課題が出されます。例えば、今日の授業で説明した「インスリン抵抗性」に、2-3のフリー・ワードを組み合わせて、論文を検索させたりします。学生は面白い論文を探し出してきてくれて、時には上記の2誌に掲載された論文を読んでくる学生もいます。

例えば、チョコレート(chocolate)とノーベル賞(Nobel prize)の2語で検索すると、どんな論文がヒットするんしょうか。

12件がヒットした(2015年3月現在)うちの1件は、Messerli博士がNEJMへ報告した、「チョコレート、認知機能、そしてノーベル賞受賞者たち」(367(16):1562-4. 2012)。世界各国のチョコレート消費量とノーベル賞受賞者数の間には、統計的に極めて有意な相関関係がある(r = 0.791, P<0.0001)との驚くべき報告です。なにせ、Messerli博士自身が「驚いた」と記載しているくらい。図1からは、各国がノーベル賞受賞者を一人増やすためには、国民一人当たりのチョコレート消費量を年間400グラム増やす必要があることが読み取れます。
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これにはもちろん、賛成・反対、あるいはそれらを超越した意見が出るでしょう。その様子が知りたければ、Natureの「ノーベル賞受者たちのチョコレート依存性」を読んでください(499(7459):409. 2013)。「ノーベル博物館には、金のアルミで包んだチョコレート製のメダル・レプリカをお土産として置いているし、ノーベル財団はチョコレートの重要性を認識しているのではないか?」(山中博士が受賞時にこのチョコレートを1,000枚も購入したのは記憶に新しい)という示唆も。
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NEJMやNatureの一流科学者は、半分いたずらの議論を真剣に展開してみせたりする茶目っ気センスを、持ち合わせています。

先日のホワイト・デーは、ラボのみなでチョコレートを食べました。未来のノーベル賞受賞者たちです。
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by Fujii-group | 2015-03-18 09:57 | メンバーの日記 | Comments(0)

分子生物学、運動生化学、生理学研究、の日々


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