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Peroxiredoxin 6, a novel player in the pathogenesis of diabetes.

Pacifici F1, Arriga R1, Sorice GP2, Capuani B1, Scioli MG3, Pastore D1, Donadel G1, Bellia A1, Caratelli S4, Coppola A1, Ferrelli F1, Federici M1, Sconocchia G4, Tesauro M1, Sbraccia P1, Della-Morte D5, Giaccari A6, Orlandi A3, Lauro D

Diabetes. 201463(10):3210-20.

 先行研究より過剰な酸化ストレスはType 2 diabetes(T2D)の発病を誘発する。そして、Peroxiredoxin6(PRDX6)はレドックスホメオスタシスにおいて重要な役割を果たすことが報告されている。
 著者らは、先行研究において、PRDX6 knock-out mice(PRDX6KO)で、種々の器官の酸化ストレスの感受性を増加させるという報告はあるが、インスリン抵抗性やT2Dの発病に関する報告が無いことに着目した。そこで、PRDX6KOを用いIPGTT、ITT、Serum Insulin 濃度の計測と、Euglycemic-Hyperinsulinemic Clamp Studiesを行いWTと比較した。すると、PRDX6KOにおいて膵臓からのインスリン分泌量が低下していること、またPRDX6KOがインスリン抵抗性を示すことが分かった。
次にインスリンシグナルのどこが阻害されているかをWestern blottingを用いて検証した。結果、IRS1以下の活性が減少していることが分かった。そして、JNK1/2の活性が向上していることも確認できたことから、PRDX6KOにおいて酸化ストレスの増加によりJNKの活性が向上しIRS1の活性を阻害していると考えた。
 膵臓においては、PRDX6KOにおいて膵島の数と大きさが減少していることをHE染色して確かめているが、この方法では膵島を見分けることは困難であり確からしい結果では無い。同様の理由で、肝臓においてもHE染色で非アルコール性の脂肪性肝炎を検出しているが、確からしい結果では無いと考える。また、脂質代謝のKey遺伝子の発現量をPRDX6KOとWTの白色脂肪細胞、肝臓、骨格筋にて比較して、PRDX6KOの脂質代謝に異常があるとしている。さらに、同様の部位の炎症性サイトカインの遺伝子発現量を比較して、PRDX6KOにおいて発現が増加していることから、各組織において炎症がおきているとしている。
 これらの結果から、著者らはPRDX6KOがT2Dの初期の特徴を示すとし、PRDX6はT2Dの発病に関わっているとまとめている。
 全体的にデータが大ざっぱであるという印象を受ける論文であった。
by Fujii-group | 2014-09-30 19:39 | ラボミーティングの内容 | Comments(0)

分子生物学、運動生化学、生理学研究、の日々


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