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M藤JCまとめ

Nature. 2013 Sep 5;501(7465):107-11. doi: 10.1038/nature12416. Epub 2013 Jul 31.
Induction of intestinal stem cells by R-spondin 1 and Slit2 augments chemoradioprotection.
Zhou WJ, Geng ZH, Spence JR, Geng JG.


 著者らは、様々な組織や器官の癌はすべて、高用量の抗がん剤や放射線で治療されると考えている。しかし、現在の進行性転移癌の治療では、癌細胞を破壊する前に、治療の副作用で亡くなってしまうケースが多いと考えている。
 本論文では、大腸癌における化学放射線療法の副作用である、小腸正常細胞の破壊を軽減できる可能性がある2つの分子について報告している。腸を健康な状態に保つには、腸幹細胞が重要である。著者らは、腸幹細胞にSlit2とそのレセプターであるRobo1のmRNAが発現していることを発見した。そして、Robo1のノックアウトマウス(ヘテロ)を用いて、表現型の解析を行ったところ絨毛形成の異常、幹細胞の減少と増殖能の異常が分かった。さらに、Slit2のトランスジェニックマウスでは、その逆の表現型を示すことが分かった。この結果より、Slit2-Robo1シグナリングは腸幹細胞のメンテナンスをすることで、腸管のホメオスタシスを誘導していると考えた。
 さらに、著者らは腸幹細胞の成長因子であるR-spondin1にも着目し実験を進めた。大腸癌モデルマウスに高容量の抗がん剤(5-FU)と共に、Slit2とR-spondin1を投与すると、生存率が劇的に向上することが分かった。さらに、Slit2とR-spondin1を投与によって腫瘍の大きさに影響が無いことから、Slit2とR-spondin1が癌には直接作用していないことが分かった。放射線療法においてもSlit2・R-spondin1の投与は生存率を向上させることが分かった。そして、腸組織の免疫染色にて、Slit2とR-spondin1を投与群とコントロール群を比較し、投与群において絨毛のサイズが大きく、幹細胞の数が多いことが分かった。
 これら結果から、化学放射線療法を行う際にSlit2・Rspo1を投与することで、抗がん剤と放射線療法への耐性を向上させることができると著者らは考えた。
by Fujii-group | 2013-09-21 09:48 | ラボミーティングの内容 | Comments(0)

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