深い・・・・・
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昨年の日本細胞生物学会で面白い特別講演に出会った。Nature Cell Biologyなどを中心に活躍するDr. J. Victor Small(オーストリアInstitute of Molecular Biotechnology)の、「Navigating a way through the scientific jungle; a personal account」という講演。内容は、「科学者として生きるために必要なこと」「研究室(研究グループ)の運営の仕方」などについて。アメリカにいた頃は大学がこの類のセミナーを頻繁にひらいてくれたが、日本の大学はまずやらない。
若い研究者とその卵たちに発せられるDr. Smallのアドヴァイスは、きわどい具体性があり(必要な者・物、不必要な者・物がきちんと提示され)、希望に満ち(サイエンスへの敬意と信頼が備わり)、しかもウィット(日本では四葉のクローバー並みの存在)に富んでいた。詳細はいつか紹介したいが、その1つに「Don’t afraid to test your crazy ideas」があった。
科学誌Natureが1849-1953年に掲載した記事・論文をまとめ、さらに関連するトピックを盛り込んで出版したBeside Natureという本に、こんな写真が載ったページがある。



この年のハロウィーンはGalton Hatの衣装に決めた。ところが、学会から戻って、Dr. Smallの講演メモに残したキーワードで検索するも、あの帽子にまつわる情報に行き当たることができない。じつは、Beside NatureもFrancis Galtonも後日に知ることとなるワード。情報を手繰り寄せることができずにいたのは、原典がNature誌にあると思い込んでいたからなのだが、講演メモと自身の記憶では事を打開するに至らなかった。
どうする?。
本人に直接たずねるか。
面識といえば、あの学会のあの瞬間でしかないDr. Smallに、メールを送った。「ハロウィーンのコスチュームという馬鹿馬鹿しいことのためにメールを送るのはcrazy ideaだと理解しています。けれども、その検証を恐れてはいけないことを、わたしはあなたの講演で学びました」
驚くほどすぐに、詳細を説明するメールが、添付資料つきで返ってきた。メールの最後には、「Good luck with your new lab. Vic.」とあった。
http://www.imba.oeaw.ac.at/research/vic-small/