M2 M君のラボミーティングの内容

 先週はM2M君のジャーナル紹介でした。なんと、レビューの紹介に挑戦しましたが、よく勉強しており、非常に有意義なジャーナルクラブとなりました。

以下は本人のまとめです。

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Nat Rev Mol Cell Biol. 2009 Mar;10(3):228-34. Epub 2009 Feb 4.
Single proteins might have dual but related functions in intracellular and extracellular microenvironments.
Radisky DC, Stallings-Mann M, Hirai Y, Bissell MJ.
Derek C. Radisky and Melody Stallings-Mann are at the Mayo Clinic Cancer Center, 4500 San Pablo Road, Jacksonville, Florida 32224, USA.

1つの遺伝子は遺伝子産物の機能を多様化する為の様々なプロセスを通して複雑でダイナミックな影響を与えている。近年、細胞内外で機能する単一のタンパク質が存在することが明らかとなってきた。これらのタンパク質はシグナル配列がなく、小胞体-ゴルジ体を通した従来の分泌経路(classical pathway)とは異なるメカニズムで分泌される(non-classical pathway)。筆者らは、これらのタンパク質の中で最も研究が進んでいる3つのタンパク質を例に挙げ、細胞内外の機能が組織全体の機能を統合する為にリンクしている事、及びnon-classical pathwayとの関係について述べている。
epimorphin /syntaxin 2は、上皮組織において、細胞内で膜融合に関係して開口分泌を制御し、細胞外では上皮組織の形態形成と発達を誘導し、細胞内外から組織の機能に補完的に働いている。amphoterin/HMGB1 は単球や神経細胞において、細胞内では核内タンパク質として遺伝子発現を制御し、細胞外では細胞の運動性、炎症、分化などに関与しており、細胞内外から遺伝子発現を調整している。tissue transglutaminaseはタンパク質のGln-Lys残基間に共有結合を形成する翻訳後架橋修飾酵素群で、細胞内ではアポトーシスを制御し、細胞外では細胞外マトリックスと架橋構造を作り、タンパク質分解・機械的ダメージに対する耐性をもたせ、細胞外構造と細胞内反応とを調和させている。
このような細胞内外のリンクした機能をもつタンパク質は他にも数種類存在しており、これらの共通点としては、①異なる機能のための異なる構造的モチーフをもつ。②non-classical pathwayで分泌されるということが挙げられる。
classical pathwayを介するシグナルペプチドをもつタンパク質を細胞内に保持するには異常なメカニズムが必要であるのに対し、non-classical pathwayは細胞内外の刺激に反応して臨機応変にダイナミックに細胞内外の局在を変化させることを可能にし、その結果、細胞内外の密接した機能を発揮できる。生物の進化の点から考えると、non-classical pathwayはclassical pathwayができる前の、進化の初期に発達してきたと思われる。初期の細胞にとって、細胞内外の密接した機能は特に重要であり、この経路が進化を経ても今日まで保持されてきたのではないかと考えられる。また、細胞内の特定のリガンドの選択的な結合を通して機能を発達させてきた分子が、変異を通して細胞外へ分泌されると、潜在的なリガンドの新しいプールにさらされることになる。
その結果、新たなリガンドとの結合によって新たな機能が獲得される。このような過程で獲得された2つの機能がリンクしている場合、選択的有利性を生じさせることから、進化の過程においてもそれらの機能は保持されたものと思われる。
non-classical pathwayを支配する明確な共通のアミノ酸配列領域はわかっていないが、近年開発されたSecretomeP 2.0 Serverによるコンピュータ上での同定が可能である。また、caspase-1の活性化がこの経路をもつタンパク質の分泌に関与しているという報告がある。
今後、このようなタンパク質の詳細な研究を通して、単一タンパク質がもつ細胞内外でのリンクした機能は、選択的スプライシングや翻訳後修飾のように一般的で重要なものとして認識されることだろう。
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by fujii-group | 2010-06-10 19:59 | ラボミーティングの内容 | Comments(0)

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