<   2013年 10月 ( 3 )   > この月の画像一覧

論文アクセプト

ラボに所属する特任助教の井上さんの論文が Nature系の速報誌 Scientific Reportsに掲載が決定しました!
"Lipidomics analysis revealed the phospholipid compositional changes in muscle by chronic exercise and high-fat diet"
Naoko Goto-Inoue, Kenichiro Yamada, Akiko Inagaki, Yasuro Furuichi, Shinya Ogino, Yasuko Manabe, Mitsutoshi Setou, and Nobuharu L. Fujii

2回もリジェクトが続いたのに、そのたびに新しいデータを足しながら、すばらしい論文へと仕上がりました。
おめでとうございます。

これに加えてうれしいことがもう一つ。教授の人生の一部となっているRed SOXが優勝しました。
今年はきっとすべてが安泰にちがいありません。
[PR]
by Fujii-group | 2013-10-31 20:24 | 研究に関連する話 | Comments(0)

台風

 関東に台風が近づいております。皆さん、週末は十分お気をつけください。
最近、科研費の申請時期でありまして、ブログの更新が滞っておりますが、ラボの皆は元気です。
学生の皆さんは、秋は中間発表会等で色々と忙しくしておりますので、ブログの記事も届いてこないのだと思います。

 さて、大学院入試説明会が11月16日に実施されますので、少しでもこちらのラボに興味をもたれた方は参加してみてはいかがでしょうか?
 最近は来年度の進路を考えて、3年生なども出席しているようです。
[PR]
by Fujii-group | 2013-10-24 20:16 | 研究以外の日々 | Comments(0)

F市さんのJCの内容

骨格筋への愛を感じるジャーナルです。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
Nature. 2013 May 9;497(7448):263-7.
Phosphatidylserine receptor BAI1 and apoptotic cells as new promoters of myoblast fusion.
Hochreiter-Hufford AE, Lee CS, Kinchen JM, Sokolowski JD, Arandjelovic S, Call JA, Klibanov AL, Yan Z, Mandell JW, Ravichandran KS.


アポトーシス細胞はBAI1を介して筋融合を促進させる

今回のジャーナルクラブでは、骨格筋細胞の融合機序に関する論文を取り上げました。骨格筋は稀な多核細胞ですが、元は単核のMyoblast(筋芽細胞)です。発生や再生といった分化の過程において、筋細胞は互いに融合し、筋線維を形成します。

筋の融合を調節する因子としては、Rhoファミリーの低分子量Gタンパク質であるRac1と、そのグアニンヌクレオチド交換因子(GタンパクをGTP結合型:活性型にする)であるElmo・Dock1が既に同定されていましたが、その上流の調節因子は何であるか不明でした。著者のグループは2007年のNatureで、Elmoと結合する上流の受容体を見つけるために酵母two hybrid screeningにを行い、食細胞におけるElmo/Dock1/Rac1経路を活性化因子として、GAI1を同定しました。GAI1は接着性のGPCR(Gタンパク質共役受容体)であり、Phosphatidylserineを認識して下流のシグナルを活性化します。Phosphatidylserineは細胞膜リン脂質の一つであり、生細胞では細胞の内側に存在しますが、アポトーシス細胞(死細胞)ではそれが細胞膜外側に提示されます。いわゆるアポトーシス細胞の「Eat meシグナル」として知られています。その論文では、食細胞はBAI1を介してアポトーシス細胞を認識し、下流のElmo/Dock1/Rac1シグナルの活性化によってそれを飲み込む(Engulfment)ことが明らかになりました。
このような研究背景から著者たちは、筋の融合過程においても、接着性の受容体であるBAI1がアポトーシス細胞を認識し、Elmo/Dock1/Rac1シグナルを介して筋の融合を促進させるのではないかと考えました。

発生段階、および骨格筋培養細胞(C2C12)が融合する際には内因性のBAI1が増加し、またBAI1を過剰発現させると筋の融合が促進されました。また、BAI1のElmoに対する結合阻害、およびRasの阻害を行うと、BAI1発現増加による融合が消失したことから、確かにBAI1からのElmo/Dock1/Rac1シグナルが関与していることが示されました。
C2C12を分化培地で培養すると、その細胞集団の一部はアポトーシスを起こします。しかし、カスパーゼ阻害剤によってアポトーシスを抑制すると、筋の融合率(Fusion Index)は低下しました。一方で、同じカスパーゼ阻害条件でアポトーシスしたC2C12を添加すると、筋の融合率はレスキューされました。また、これはアポトーシスしたT細胞でも代用できました。BAI1はPhosphatidylserineを認識すると考えられたため、セルソーターで生細胞と浮遊細胞のPhosphatidylserineを比較したところ、浮遊細胞は確かにそれが細胞表面に提示されていました。
BAI1のノックアウトマウスでは、骨格筋の筋サイズが小さく、筋の再生能力も低いという表現型が出ました。
最後に、著者たちは蛍光イメージングによって筋融合の際の貪食作用を観察しました。分化中のMyotubeには、その周囲にアポトーシス細胞が存在し、接着していました。一方で、Myoblastでは、生細胞の中にアポトーシスした細胞が重なって見えたことから、著者たちはC2C12は細胞を飲み込む可能性があると言っています。

一連の結果から、アポトーシス細胞とBAI1は筋の融合に重要な役割を担うことが明らかとなりました。しかし、BAI1によってElmo/Dock1/Rac1シグナルが活性化されたMyotubeは、アポトーシス細胞を飲み込むのではなく、別の生細胞と融合します。その点が一般的な食細胞の飲み込みとは異なるため、その詳細なメカニズムの理解が今後の課題であると考えられます。

骨格筋が成熟する過程には、自ら命を絶って仲間が生存するのを助けるものがいる。そのことを知った私は、よりいっそう筋肉のことが愛おしくなりました。C2C12を分化させた際には、tubeになったものだけでなく、浮遊した細胞にも目を向けようと思います。
b0136535_2042375.jpg

[PR]
by Fujii-group | 2013-10-18 08:22 | ラボミーティングの内容 | Comments(0)

分子生物学、運動生化学、生理学研究、の日々


by Fujii-group
プロフィールを見る
画像一覧