本日は本の勧め第三弾!
リチャード P. ファインマン(大貫昌子 訳)
「ご冗談でしょう、ファインマンさん 」
岩波書店 1986年
(現在、岩波現代文庫にて入手可能)
ノーベル物理学者ファインマンの自伝。とされているけれど、実際はファインマンが語った自身の人生を、友人のラルフ・レイトンがまとめたものらしい。他人が「ご冗談でしょう!」と思う人生を、当の本人は当然至極と余裕たっぷりに生きる。そんなエピソードが満載で、文系でも理系でも体育会系でも、研究者でもそうでなくても、だれもが肩の力を抜いて楽しめる一冊(上・下巻で二冊)。実際に米国では50万部以上が売れた。研究と関係の無い内容も多いけれど、同時にどのエピソードからも、彼は「冒険」が「研究」が「探求」が「物理学」が大好きで、彼にとってそれらはみな同じ意味で、いつもそいつと肩を組みながら歩んでいる、そんな感じが伝わってきます。けれん味がたち過ぎるという感想も聞かれるけれど、、、真実を追究することの単純で純粋な喜びこそが彼の人生そのものであったことに、変わりはないと思います。わたしを含めた現代の生命科学者は、「発見とは、他人が発表するよりも先に発表を終えることである」という競争原理に否応なく駆り立てられます。そんな状況に息切れしたらこのエッセイを読んで、心の隅に追いやってしまっている大事なものを、もう一度手のひらにとって温めてみるのがよいかもしれません。訳者の大貫昌子はファインマンの友人。人柄をよく知るためだろう、「ファインマンが日本人ならこんな口調で話すんだろうな」と思える名訳となりました。エピソードを息づかせてくれています。(F)
特に、将来を悩む中学生や高校生の人にすすめたいと思います。昔、イギリスのBBCが彼のドキュメンタリー番組をつくっているのですが、それがまた素晴らしい!このビデオが、現在、日本では、丸善で教育関係の人だけが購入可能なようで、個人に販売はされていないのです。本を読まない人に知っていただくためにも、ぜひ、もう一度放送するか、一般の人にも販売してほしいものです。(M)