石田五郎
「天文台日記 」
筑摩書房 ちくま少年図書館 1972年
(現在、中公文庫BIBLIOにて入手可能)
天文学者の著者が、星々との対話の仕方とその魅力を抑制の効いた筆致で語ります。岡山天体物理観測所での日々を日記風に紹介する内容ですが、その文章は一貫して現在形で記されていて、本書が過去の事実を切り取った記録に留まるものではなく、抽象化された「天文学者の生態」の普遍をも物語っていることを教えます。復刊を望む古いファンの期待を中公文庫が2004年にすくいあげてくれた。読み終えたあとには外に出て、そこに星があろうとなかろうと、夜空を仰ぎ観たくなること必至です。(F)
スペースシャトルで宇宙に行くことが夢でなくなってきた近年、我々は、宇宙を映像を通してしか理解しなくなってきていませんか?外に出て、夜空を見上げてください。目を通して見える暗闇や星たち、それこそが宇宙です。私たちは宇宙のチリにもならないような、ちっぽけな存在だということに気付きます。そして、我々は科学という原点に気づくのではないでしょうか?(M)