4年生第一号 デビューを飾ったY君、まだまだまだまだ頑張らなければいけないこともたくさんあったのですが、この論文で何を証明したいか、全体をつかむという流れを作っていたところは本当によく頑張りました。
以下は、本人が書いた要約です。これからの成長と活躍期待してます!
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THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY VOL. 285, NO. 9, pp. 6186–6197, 2010
Differential Phosphorylation of RhoGDI Mediates the Distinct Cycling of Cdc42 and Rac1 to Regulate Second-phase Insulin Secretion*
Zhanxiang Wang and Debbie C. Thurmond
the Herman B Wells Center for Pediatric Research, Basic Diabetes Research Group, Department of Pediatrics,Indiana University School of Medicine
Cdc42のGTP/GDP状態を介したサイクルは、膵臓の膵島β細胞におけるインスリンの第二相分泌に重要な役割を果たしている。しかしそのCdc42サイクルに関わるタンパク質はこれまで不明であった。TAP法によるタンパク質精製と質量分析により、β細胞においてCdc42サイクルに関わるタンパク質としてRhoGDIが同定された。単離した膵島のRhoGDIをRNAiによってノックダウンすると第二相のインスリン分泌が亢進した。さらに、RNAiでRhoGDIをノックダウンした膵島に外因性のRhoGDIを発現させるとインスリン分泌が正常に戻った。これによりRhoGDIはCdc42の抑制因子として働くことがわかった。また、RhoGDIはβ細胞においてRac1の活性も制御すること、さらにRac1の活性化はCdc42依存的に起こることも加味して考えると、β細胞はCdc42とRac1の異なったサイクルをどのように活性化しているのかという疑問を解決する必要がある。3分間のβ細胞グルコース刺激によってRhoGDIとCdc42の複合体が解離することがCo-IPによって確かめらた。これはRhoGDIのチロシンリン酸化とCdc42の活性化のタイミングと同じである。RhoGDIとRac1の複合体の解離もこれに続いて起こり、このときRac1が活性化することがわかった。RhoGDI-Cdc42複合体の解離はRhoGDIのTyr-156の変異によって阻害される。一方RhoGDI-Rac1の解離はTyr-156に加え、Ser101、Ser174の変異によって阻害される。最終的に、Y156F/S101A/S174A-RhoGDIの変異体はインスリン分泌第二相を選択的に阻害するということから、グルコース感受性の低分子量GタンパクであるCdc42,Rac1の活性化メカニズムにRhoGDIの作用が必要であるとわかった。