さて、そのチョコレートに関する研究で1996年に面白い研究がNature誌に出されております。それによると・・・欧米の方ではチョコホリック(チョコレート中毒)という言葉があり日本など比にならないくらい、チョコレートの消費が多いのです。これに注目した研究者が「チョコレートのカカオ成分の中に何か、食欲を刺激するような?または一回食べたらまた食べたくなるような成分が含まれているはずだ・・・」ということで、検討した結果、アナンアミドというカンナビノイドの一種を見つけたのです。カンナビノイド類というのは、一種の脳内モルヒネのようなもので、報酬効果に関係しているといわれています。
もっと簡単にいえば、我々の脳にはかなり弱い麻薬のようなものが作られており、それが痛みを和らげる効果があったり、おしいものを食べた時、幸せ!もっと食べたい!という感覚を生んだりする作用があります(ちなみに麻薬などの薬は脳内モルヒネに似た構造のために、それを高濃度で摂取することで強く作用し非常に危険なのです。我々の体内で作り、体内で作用するものは微弱なもので、我々が普通に生きていくためには必要だから備わっているものです・・・)。
チョコレートは非常に微弱な、脳内モルヒネ用のものが含まれているから、一回好きになると、なかなかやめられないのではないか?という論文でした。その後、別のチームから、「いや同様の物質はミルクなどにもっとたくさん含まれているのに、ミルクはチョコレートのような効果はないではないか!」という反論もあるため、たとえ含まれていたとしても、それがどの程度脳に作用しているかどうか不明です。しかし、我々が食べる市販のチョコレートは、油も砂糖もたっぷり添加されており、油も砂糖もばっちり脳内エンドルフィン(脳内モルヒネの一つ)の産生を促すので、それだけでも食べたいという刺激物質としては最高ですね・・・
皆さん食べすぎたら、頑張って運動して、骨格筋でエネルギーを消費しましょう。